これは、前回書いたシンポジウムの食物アレルギー部門の講演の題です。 まず、食物アレルギーがこの30年間で激増したという事です。 理由については不明ですが、この5年位で随分と研究も進み、学会での演題も増えました。かなり注目されてきたと言う訳です。 子供の生活にかかわる重大な問題ですから、保育園、幼稚園、学校、等各々の分野での協力、教育、その他、法律まで関係してくるようですよ。
まず、アレルギーになり易い食物の内容表示が義務付けられましたし、エピペン という重いアレルギー反応が起きた時に使う注射が認可されました。 重症の方は、危ない時、すぐ使えるよういつも持っていなければいけませんね。 私も重いアレルギーの症状を起こした時以来、持っていた方が良いか? と考えています。まあ、職業柄、いつでも同じ成分の注射薬が仕事場にありますので、出かけた時以外は大丈夫ですが。
これまでに、学校では、300例以上のお子さんにエピペンが注射されという事ですから、命が助かったお子さんも居ると思います。私は、自分がなってしまった経験から、凄い腹痛、嘔吐、下痢で、とても救急車にも乗れないと感じましたので、あれ以上酷くなったら、エピペンが無ければ危険です。 命に関わりますね。
その後、学校や保育園での 「食物アレルギー対応の手引き」 というものが作られましたので、何処でもそれにのっとって対応されていると思います。 その後の大きな進歩は、アレルギーの診断が 負荷テスト という、 ”食べてみて症状が出るかどうか見るテスト” で決まるようになった、という事でしょうか? 今までは、血液検査で抗体を調べては見ましたが、その検査結果が、本当のアレルギーと一致するとも言えず、なかなかハッキリしませんでした。 何を根拠に診断したら良いのかが判らなかったのですが、今では負荷テストによって、症状が出るか見る、という誰にでも判る形になった、と言う事は大変な進歩だと思います。そして、この負荷テストが出来る施設が日本はとても多く、60施設もあるのに、アメリカでは、全部で10施設しか無いそうですよ。
そして、湿疹やアトピー性皮膚炎は、食物アレルギーが第一、という考えではなくなり、まず保湿、と言う風に変わってきました。
これからは、何故食物アレルギーが増えたか、どうしたら防げるか、 という事ですね。 早く知りたいのですが、研究というものは、大勢の人の努力によって、少しずつ進んで行く物で あって、一足飛びには行きません。 もう少しかかりそうです。