これは、先日読んだ本なのですが、小児科医として、あまりにも可哀そうで悲しい、怖くて泣ける本でした。 このように書くと訳が判らないですね。 子供の頃から、全く親に愛されないで育った主人公が、人間らしさを失い、残酷な事をしても何とも思わないような恐ろしい人間になってしまうのですが、最後に人間らしさを取り戻す話です。でももう間に合わなくて、無残に死ぬんです。 何とも悲しくて、泣ける話ですが、最近、人間には、子供の頃の成育歴という物がとても重要だと言われてきています。 「3つ子の魂100までも」って本当だったんですよ。 昔の人は成育歴なんて、全然関係無く、そんな言葉も無かったのに、どうしてこう言い得て妙なんでしょうね。感心します。 題名の 「海馬」って、最近重要性が増していますね。 記憶を司る場所です。 その端に、 アーモンドみたいな形をした小さな組織があって、人間の感情、 情動 と言うんですが、喜怒哀楽 等を司っています。 そこの事なんですが、最初、題名の意味が判りませんでした。読んでいく内に、ああ、解剖学的な名前なんだ、と判るんですが、怖い場面が多く出て来るので、読むのが大変でした。